【スーツ】拘りや着こなし。あなたの常識は他人の非常識?盲目的な主張は要注意。

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ひと言に「スーツ」といっても多種多様にありますよね。

時代の変化で、新しいデザインや素材、機能のスーツが色々売ってます。

けど、昔ながらのスーツも無くなってしまったワケでもない。

多種多様にある中で、着る人しだいの丸投げ状態。

それぞれに理由や良さや拘りがあります。だからこそ、ひとつの視点に固執しすぎると正しい事を主張してるつもりでも、いつの間にか面倒な人になってますよ…という話。

 

 

ジャケットの袖ボタンと切羽。

【ジャケットの袖ボタン】

有名な話ですが、ジャケットの袖ボタンはナポレオンが考案したとされています。ナポレオン軍がロシアへ遠征し厳寒の山中を越える時、隊員が寒さで垂れる鼻水をジャケットの袖で拭いているのを見て、それを阻止する為に袖口にボタンを付けた…という説があります。

【袖口ボタンにはいくつかの仕様があります】

ボタンの数と取り付け方。一般的に3個か4個が多いです。4個以上の場合に見られる事が多いですが、ボタン同士を重ねて取り付ける「キスボタン」という仕様もあり、高い技術や手作業の証として拘りのひとつです。

切羽について。ボタンホールに見立てたステッチを「飾り切羽」と言います。スーツを着用するにあたって袖ボタンを開閉する必要はない為「飾り切羽」や「切羽なし」が一般的です。しかし、高級仕様、拘りのひとつとして、実際にボタンホールがあり開閉できる「本切羽」もあります。また、特にファッション性の高いスーツおいて、ステッチの色を変えるのも最近の傾向です。

 

 

面倒な人の一例として、まずは自分の話をしましょう。

私がスーツ屋として働いていた当時、職場内で本切羽のボタンを1~2個外して着るのが流行ってました。もちろん、内輪発のネタではなく雑誌など他の媒体でも同じような流行情報はありました。ですが、一般のビジネスシーンで袖ボタンを外して着用する…なんてありえないワケで。そもそも、多くのお客様は袖ボタンにそれほど関心がない。そんな流行なんて全く理解されない…という状況でした。

さらにひどい場合は「このスーツ、袖のボタンが取れて無いんだけど?」みたいな問い合わせが、購入後のお客様やクリーニング店からくる始末。本切羽について説明し、ボタンが外れているだけだと理解されても、だいたいは釈然としない態度で電話を切られます。

お客様にとっては不都合が生じた瞬間に「不要な機能を押し付けられて、その結果、余計なストレスも受けた」という気持ちなのでしょう。また「元々のデザインや王道の着こなしを崩す=だらしない」と感じる人もいる…と、スーツ業界を離れてから思うようになりました。当時、業界内の流行に特化した情報でスーツを着こなしていましたし、それを顧みる事もなかったのですが、オシャレどころか店員のくせに袖ボタン外れてるの気付いてないの?この店は信用できない…なんて思った人もいたかもしれませんね。

 

 

ポケットのフラップ出す出さない問題。

【上着のポケットに付いているフラップ】

外出時に、雨や埃をポケットに入れないための物。なので「屋外では出して、屋内では入れるのが正解」という説があります。しかし、現在ではデザインの一部とみられるのが一般的なようです。

右だけ、あるいは左だけ入ってるとかは問題外ですが、ビジネス的には…どちらでも良いのでしょうけど…出したままの方が無難な気がします。

 

私?

個人的に入れるのはカッコ悪いと感じるので出してます(笑)

 

 

今回の面倒な人は、スーツの試着時に毎回フラップを入れる人です。

これは店員サイドから見て面倒…という感覚かもしれませんが。

別にその人の着こなしをどうこう言うつもりはありません。「入れたければ買ってからやってくれ」というのが店員の本音。ポケット周りはまつり縫いされてる商品も多いですし、中途半端に折れ曲がったままフラップを入れられて片付け時に店員が気付かなかったら、そのまま折れ跡が付きます。正直、型崩れの原因になりかねないです。何着も試着して毎回フラップを乱雑に入れる…昔そんな人の接客をした事があります。

フラップだけの事ではなく、「昔は瘦せていた」的な思考で細いスーツを無理やり着ようとする人なども同じです。自分の拘りを通す前に、商品は丁寧に扱ってもらいたいですね。

 

 

型崩れを防ぐ。ポケットのまつり縫い。

【ポケットのまつり縫い】

元々、ジャケットのポケットには物を入れないのがスマートな着こなしとされています。物で膨らんだり、重みでポケットが垂れ下がったり…は、ファッション面、儀礼的な面から見ればタブーです。なので、ポケットが開かないよう、まつり縫いが施されている商品もあります。高級スーツやフォーマルに多い傾向です。まつり縫いを解けばポケット自体はありますが、商品によっては「本気で縫ってるんじゃないか?」と思うほどしっかり縫ってあるものもあり、注意して解く必要があります。

 

上記の「本切羽」でも同じような事を書きましたが、「ポケットが使えない。不良品だ!」という、お怒りや問い合わせが多いんです。店側は「型崩れ防止のため」という常識、お客様は「ポケットは物を入れるため」という常識…

入園式帰りのお父様かな?こんなケースは稀ですが、型崩れ防止について説明しても「じゃあどこに物を入れるんだ?こっちは小さな子供を抱っこして両手が使えないんだぞ!?」と怒鳴ってきたお客様もいました。

店員がお客様の生活スタイル、家族構成までお伺いして、小さなお子様がいるならポケットに物も入れるはず。まつり縫いの事も説明しなくては!…と考えるのがホスピタリティ…なのかどうかは、販売時の状況次第なので置いといて。

それでも、店員とお客様という立場上、7:3くらいで店側が悪くなりますね。

そして十中八九、事後に「何も知らない面倒な客だったなぁ」と店内で笑われてます。まぁ、リスク管理がしっかりしてる店ならば「商品説明は必ずしましょう」とか「こちらからお伺いして、まつり縫いは解く方向でいきましょう」なんて対策されるのですが。

何にせよ、お互い自分の常識だけで物事を判断する前に再確認したいものです。

 

 

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